移動先がホテルの部屋しかない場合や、蚊対策のために室内で運用したいケースを想定して、室内アンテナを考えてみました。(AH-4などのオートアンテナチューナ+釣竿電線が威力のあるのは知っているのですが、荷物重量、費用、窓から外に出すため現地での設置安全度は?、などを考えて別の案を試します)昨今のコンディションから考えて、対象はとりあえず21MHZ、18MHZ、14MHZとし、50Wまでは使える条件です。
候補は、MLA、1~3回巻きのループ、ダイポール、エンドフェッドです。
①MLA
インターネットやCQ誌で、大分時間を掛けて調べました。特に凄いな、と思ったのは、JA7CISさんのアンテナです。全長4mのアルミの帯板製で、3.5MHZから28MHZ帯まで対応しておられます。(アルミ板を地面に敷くアンテナの紹介もあり、非常に驚きました。HPは以下です)
このアンテナで移動用を考えた場合、PY1AHDさんが開発された「同軸ケーブルをエレメントに使う方法」が最も良い方法に思えましたが、このアンテナの最大の問題はコンデンサで、出力50W程度で運用しようとすると、6KV程度の耐圧が必要。また、「放射抵抗が低いので、接触抵抗を極力減らさないと駄目」、ということは、ギャップ6mmのスプリットステータバリコンが必要です!
真鍮板で固定コンデンサを作って、可変部分は小型にする、とか、10D2Vを切って使う、とか色々考えてみたのですが、誘電率の問題で、運用中に周波数が変わって調整が難しい、という記事も見受け、また、コンデンサ部分の大きさを考えると、私のスーツケースに入れての持ち運びはできそうにない! 性能の良い真空コンデンサは高い上に、運搬上の耐久性は無いに等しい。以上から、思考段階でのトライだけで、候補から外しました。(いつかはトライしてみたいですが)
②1~3回巻きループ
「FT817マニアになる本」の中に、窓ガラスに吸盤で固定する1.5m平方3回巻きのワイヤアンテナの記事があり、オートアンテナチューナでマッチングするとあります。ウーン、良いアイデア!
全長は18mの長さがあり、マニュアルチューナでも大丈夫だそうで、MFJ-902Bを買えば何とかなりそうです。これはお金で解決する方法(2万2千円くらい)。
で、自分で作ったデルタループ用のπCカップラで何とかならないかと、実験してみました。
一つは、愛用のデルタループの一辺を2.4mとして、室内に設置する方法で、釣竿にヘリカル的に電線を巻いて長さを稼ぎ、一応、21MHZでSWR=1.7程度に収まりました。
(もう一つは、ループを2回にする方法で、28MHZでは調整が出来ましたが、21は駄目だった)
また、ヘリカルを辞めて、ポリロープを張って四角形に電線を張り、カップラで調整もしてみました。こちらはシングルのクワッドですね。
で、FT857DM+SWRメータ(COMETのCMX-200)で送信を試みました。ところが、どうも上手くありません。SWRが高いうえに、ちょっとしたことでそれが変動し、安定感が無い。また、この状態で、18MHZ、14MHZはSWRが下がりませんでした。3バンドで。というのも条件の一つです。結局、もっと広範囲に調整の可能なチューナを買う必要があると結論付けました。(買い物が必要で費用が発生します)
③ダイポール
調整が一番楽かと考え、釣竿を水平に展開して設置して見ました。ところが、πCカップラを使うとSWRが低い点が無い! そんな馬鹿な・・・なんですが、カップラ無しでSWRは1.7から2程度なので、これでも良いか、と思います。が、どうもやはり安定感が無い。周囲の影響をどうしても受ける感じです。何故なんかな?
④エンドフェッド
マッチング回路(水道用エンビパイプVP25に1.2mm銅線で10数回巻きのコイルと、3KV耐圧のセラコン4個で作った22Pのコンデンサで構成している)を作ってあったので、実験は簡単でしたが、SWR=2以下に入らず駄目。それで、7K3DIWさんの記事を参考に、電線長さを少し短くする方法で再トライしてみました。
構造としては、釣竿+カメラ三脚で、2mほどの柱を作ってその根元から給電、トップから水平方向に、残りの長さのの電線をは渡します。ポリロープを張って、そこに電線を添えるだけの簡単な構造ですが、まっすぐだと長いので、途中三か所折り曲げました。
その結果、電線を、21MHZで6m、18MHZで7m、14MHZで9mとし、マッチングボックス内のコイルにタップを出して調整する方法で追いこめば、SWR=1.2以下に入ることが確かめられました。
この状態で試験電波を出してみたところ、なんと21MHZでは、ほぼ全域SWR=1.1程度で収まります。(5w~50Wまで試してみた) QSOはしていませんが、何とか使えそうな気配でした。
(実験の日、中国局が数局聞こえて来ており、599状態で受信できていました)
安定性についても確かめたところ、一回ばらして、少し形態を変えて(電線の張り方を変えて)も、結果は同じ。同軸のアース側に手を触れてもSWRに変化はなく、どうもいけそうな感じです。
当初、このアンテナが一番不安定だろう、と思っていたのですが、結果は反対でした。どうも、給電点のインピーダンスが高い方が電流が流れないために、安定化するのでは?、とも思います。
※結論
ということで年明けから、④エンドフェッドで実際の運用を試みてみることにしました。
また、5.4mの釣竿を地面から立て、エンドフェッド21MHZを設置して見たところ、電線の最適長さが少し違うだけで、使えそうなところにいることが分りました。山岳などでは、この方法(釣竿一本と電線6m、マッチングBOXのみ)で、21MHZがQRVできそうです。来年は暖かくなったらこの方法で、小山の上からもトライしてみようかと思っています。
(ただ、電線6mを5.4m以下に畳もうとして、地面に近い部分で30cm位の輪を作ったら、共振周波数が2MHZも上に行ってしまい、意外とクリチカルでした。固定をしないと安定性に欠けるように思います。この辺は宿題です)
⇒その後、マイクロバートが室内でも上手く動作することを確認し、現在はマイクロバートを愛用しています。