小学5年生の秋にイケヤ・セキ彗星が遣ってきて、人々を魅了して去りました。私は直には見ていないのですが、雑誌「天文ガイド」に載った写真は素晴らしいの一言で、特集雑誌も出されました。それから高校一年まで、クラスの友人を先生に、天文趣味に嵌っておりました。
やったのは流星観測と天体望遠鏡の製作です。「全天恒星図」の値段が高くてお小遣いでは買えず、中学3年の昼休みを使ってボールペンで全部、ノートに書き写しました。なので、88星座は一旦は覚えたはずなんですが、ほとんど思い出せません。
無線も雑誌で知って、面白そうだと思って勉強して電話級の試験に行ったのですが、その頃は高校受験もあるし、ブラスバンドにも入っていて毎日練習があるし、クラスの女の子3人が凄くスケートが上手くて(郡でもトップレベルで、一人はその後、世界選手権に出ています。=郡でのトップレベルは、日本の上位のレベルということです)、彼女らに憧れて、冬の朝は6時頃から学校へ行くまで部落の田んぼのスケート場で練習を積みました。また、町内に記録公認される333mのリンクがあり、そのリンクで、国体選手が滑走するのを見ながら滑った。
靴ひもを締めないままブレードに乗って、片足で一周スムーズに回れるくらいにならないと、そこそこ上達した、というレベルには達しません。
そんな訳で、日々があまりに忙しく、文化祭に出そうと始めた「2球ワイヤレスマイク」は配線が終わった時点で出さざるを得ず、作り始めたSSBトランシーバも中途半端で終わりました。要は「物作りは凄く時間が掛かる」。今でも、7MHZCWトランシーバレベルのキット制作でも、動くのを確認するところまで行くには数日は掛かってしまいますよね。それに、中学生のお小遣いでは、測定器なんて買えませんし、自作は無理が大きかった。
工作にはプリント版のエッチングや、ハンダ付けは必須で、これはよく遣りました。やけどもしましたし、感電も遣りました。大学は電子工学科の卒業ですが、驚いたことに、級友のほとんどは「ハンダゴテを使ったことがない!」
大学での頭脳学問は、それだけではダメです。実験が大事。ちなみに、クラブで卓球ばかり遣って授業には欠席がちで、成績の悪い生徒でしたが、実験だけは良い成績を貰いました。(洗濯を、下宿の近くにある井戸で遣ってました。冬は凍って大変でした。そういうときはアパート住まいの学生が羨ましかったです・・・)
高校1年の時、無線クラブに入ったのですが、置いてある無線機はAM用の9R59とTX88Dでした。それなら十分、自分でも作れるレベルと思います。「5球スーパーのレベルです。が、時代はSSBへ突入した頃で、回路がずっと複雑になりました。私が入る前の年の予算でYAESUのFT50が購入されていて、次の年の予算でFR50Bを買って、初めてSSBでのコンテスト参加が適うようになりました。
このシリーズは凄くて、喋っている最中に周波数がどんどん変化します。バンド内でやっているはずなのに、モニター局から「オフバンドです!」の声。慌てて何度もやり直しました。
(話している最中にVFOツマミを回していないと復調できないんです。ところが、相手も一緒にドリフトする。そのため、双方一緒にバンド外に出てしまいます)
あの頃はお正月にJARL主催のQSOパーティがあって、学校に泊まり込んで頑張りました。気の合う仲間ばかりで、それが無線を遣っていて一番楽しかった思い出です。天文部にも在籍していたのですが、ドームの中に週刊誌などを放っておくような状態で、雰囲気が好きになれませんでした。
その後、TS-510Xの時代が来て、高校卒業後中古を手に入れて、あれこれ直して使い、その後、後継のTS-520Xを手に入れて、休みで田舎に帰った時に、コンテストなどに出たりしました。バグキー使用でした。(金ノコ歯で作ったのもありますが・・・)
高校のアンテナは3.5MHZと7MHZがダイポールで、上のバンド用にはキュビカルクワッドが上がっていました。10WでもDXが出来たはずですが、実際は難しかったですね。巷では、上級ライセンスの局は世の中に少ないはずなのに、100Wマシンばかり売れているような、変な時代でした。
就職してからは無線はやっておりません。会社の寮かアパート住まいだったし、体を使う趣味=山登り、の方が圧倒的に健全で、部屋に籠っての作業主体のアマチュア無線は、どうも性に合ませんでした。工場勤めで、世界で最も優秀と自負する一眼レフカメラを組み立てる生産ラインでの、計測器造りを担当していました。新製品用にラインを作りますので、測定器をその都度、制作しており、毎回が新しい測定技術へのトライでした。
会社に入ったのはマイコン時代が始まったばかりのときで、8080のコンピュータによるアクイジションシステムを、数名の担当者で作り上げました。ADボードやDAボード、コンピュータボードも全て自作です。ソフトはまだマシン語の時代で、沢山のサブルーチンを作って走らせていました。TV画面への出力が意外と大変でした。ソフト制作のためのTANDYマシンが、よく熱暴走を起こしましたね。
仕事はいつも忙しく、工場では電気設計のほか、本来ならメカ担当の人が遣る型の検査具の設計とかも齧って、JISもそこそこには勉強しました。でも、工場では人類に貢献できるような科学的新発見に行き着くような機会はありませんでした。公用としてはエネルギー管理士資格なども持っていますが、無線とはあまり関係がありません。ただ、お国の消費電力削減制度を学ぶ関係上、「キロワットのアマ無線局などは遣るべきではない」というような思いが生まれました。
(技術的にはサブミクロンのレンズ測定とか、新センサーの性能測定とか遣りましたが、そういうのは企業秘密に属することで、こうした場所には書けません)
無線に戻ったのは退職後で、要は体力がなくなったためです。これまでと違って、取り扱える世界が大きく縮んでしまいました。マッターホルンなども登れた頃があるのですが、今ではとても無理です。
技術的には、K2を組み立てたり、終段を直すことが出来る程度のレベルです。10Wの終段部分や100Wの終段部分も直したことがありますが、まあ、そんなレベル。製作には測定器の購入など、無線機以外の多額の費用が掛かってしまい、割りに合いません。KX-2や101や991などなど、非常にコンパクトに上手く出来上がっており、とても自作が出来るようには思えません。480HXの終段は自力で直したりしましたが、メインボード故障は難しくて直せませんでした。
ちなみに、KWのモーターを使うソーラーカーのコントローラも自作しましたが、ナノのスイッチングをするFET技術が或る線を越えないと、壊してばかりになります。貴重な石のポンポン花火を何度も遣って、万円オーダーで損失。そういうのを続けるわけにも行かず、最終的には市販品に頼ることになってしまいました。
やはりメーカーの技術者は凄いですね。あのコントローラ! あの出来合いのすばらしさで20万円程度。こういうものを完成させる技術者は、超凄いのレベルですね。
皆さん、アンテナのインピーダンス+指向性の検討で使いますよね。でも、結果を見るには注意が必要、というのが私の感想です。周波数が少しでも合わないと、MMANAは逆方向の指向性を示してくれたりもしますし、計算結果通りの数字で作ってすぐに動いた試しはありません。(なので、性能が出ているかどうかは、実測定は必要だと思うんですよね・・・)
ダイポールのシミュレーションの結果、高さが低い場合はSWR=1付近のインピーダンスの結果が出て来なかったりしますが、実際は50オームに合わせる長さで設置して使えてしまいます。指向性なども、合っているのかどうか?
アンテナは結局、地上からの高さがものを言うのだと思います。低い高さの多エレメント八木は一見性能が高そうに結果が出てきますが、高い高さのダイポールの方が、性能は上・・・。
このソフトは、エレメントが発する電磁界を重ね合わせて計算するのかと思いますが、そういう計算ができるソフトを作った人は凄いなあと思います。恒星誕生のシミュレーションソフトとか、流体の摩擦抵抗を計算するソフトなど、とても自分がこれから必死に勉強しても、制作ができるようには思えません。ベクトルやテンソルの計算も学生時代はやりましたが、今じゃあお空の外の技術に見える・・・。ちなみに、超弦理論やカルロ・ロヴェッリさんのループ量子理論なども齧りましたが、もう付いて行けるオーダーではないですね。
歳を取りました・・・。