アイガーの準備・高度順応で登ったのだが・・・。

 

　その年は、会社が何と16日間の夏休みを約束してくれました。素晴らしい対応で、もう、ビックリ！　ならば再びヨーロッパに行こう、となって、5名のメンバーでモンブランを目指すことになりました。でも、日数があるのでモンブランだけでは勿体ない。前半は各自が登りたい山を選んで登ることにし、私はアイガー、Ｋさんは昨年登れなかったマッターホルン、他のメンバーはメンヒを目指すことになりました。

 

　スイス・チューリッヒの空港に着いて、グリンデルワルトに入りました。今回の私はガイド登山なので、一人、観光協会に出向いて意向を伝えます。会長さん言うには、まずはアイガー本山ではなく、高度順応を兼ねてメンヒに日帰り登山し、翌日東山稜にあるミッテルレギ・ヒュッテに入る。

　たまたま観光協会で、リコーの技術者の方に出会いました。彼もアイガー登山を希望して来欧されており、アイガーはガイドと４名で目指すこととなりました。

 

　メンヒは登山には2～3時間を要しますが、日帰りでも行って来れます。私は急遽、この山に登ることになったので日帰りですが、他の3名のメンバーはメンヒが前半の主目的だったので、メンヒ小屋に泊まっての十分な準備での登山でした。（これが正解です。条件が良ければ、ユングフラウも登れます）

 

　登山電車で標高3,450mのユングフラウヨッホまで上がり、駅から少し進んだ尾根の麓が出発ポイントです。ここから暫くはフリーで上がり、尾根がきつくなる手前からザイルを結びます。

　今回は霧っぽいお天気で、今一、展望が効きません。登山慣れしたメンバーなので快適に標高は上がりますが、山頂の前後１００ｍほどは尾根が細くて一人しか歩けないとのこと。山頂から人が歩き始めたら、山頂を目指す側は待ちとなります。その辺のルールはガイドさんが教えてくれました。

　稜線は角度40度から70度くらいで左右に落ちており、特に東側が急峻で厳しく感じられました。万が一、稜線から人が落ちたら、パートナーは反対側に飛び降りて確保しなければなりません。そういう覚悟が無いと、こういう登山はしないのがベターです。

　今回は山の高さに雲が出ていて遠望はあまり利きませんでしたが、山頂からはアイガー山頂が見えており、そこに3人の登山者が見られました。

 

(写真)　メンヒ山頂にて。黄色のヤッケが私、左手奥の山がアイガー。

 

　下山は楽でした。明日があるので、登山電車で真直ぐにグリンデルワルトへ戻り、早めに休みました。ですが、その後、何と、雪になってしまいました・・・。

 

　翌朝はガイドと共に一旦、登山電車でクライネシャイデック駅まで上がりましたが、やはり雪の具合が悪く、アイガーは諦めざるを得ませんでした。

「その代わりにヴェッターホルンはどうか？　あそこは雪があっても登れる」

　急遽、ヴェッターホルンが、次のターゲットとなりました。

　ちなみに、メンヒを目指した３人は無事に登頂できています。3人での自力登山でしたが、日頃の精進実っての快適登山だったそうです。

 

　彼らの泊ったメンヒ小屋でのトイレの話。

　向こうの方は腸が太くて、出てくるものも物凄く太い・・・。山小屋は3000m以上の標高ですので、それらが凍って、便器の下方で柱のようになっていて・・・。

　ウーン、登山より怖いお話でした。 

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