メキシコには3つの5千メートル峰があります。一番高い山がオリサバ、二番目が私たちが登ったポポカテペトル。

　ポポカテペトルは、現地の言葉で’煙を吐く山’という意味だそうです。私にとってはこの山が、海外登山の第一番目。今思えば、こういう凄い企画をしてくださった山の会のリーダーＯさんには、心より感謝です。

 

　メンバーは13名。金曜日の会社終業後、分を争う厳しいスケジュールで福島⇒成田に移動し（新幹線が通じたための離れ業でした）、ロス経由でメキシコシティーに入りました。

　まず難しかったのは、言葉がスペイン語であることで、幸い、大勢のパーティが遥々日本から来ると言うので観光局のお役人さんが付いて大きなバスで移動することになり、その方のお陰で、シティ観光も山も無事に行って来られ、手ひどかった下痢からも回復することが出来ました。（写真は処置ができ次第、載せて行こうかと思います）

 

　ポポカテペトルは5,452mの標高があり、スペインの開拓・征服者らが大陸に上陸後、メキシコシティーに向かった時にも、この山を仰いだそうです。首都・メキシコシティからは、朝バスでスタートして午後に着くくらいの距離があり、登山基地のあるトラマカスの小屋で既に4000m近い標高があります。到着後、2時間くらいで頭が痛くなりましたが、2時間ほど休息したら回復、翌朝は朝4時出発です。

 

　山頂までの標高差が1,500m以上あり、高山病を避けるためにゆっくり登高するしか方法がありません。行動は10時間ほどは掛かります。黎明の中、ゆっくりゆっくり上がりますが、メンバーの中には吐いてしまう人もあり、高山の厳しさが感じられました。

 

　一旦東側の外輪（5,300mほど）に到着し、そこで体調と見合わせて、行けそうなメンバーが5,452mの山頂に向かいます。荷物をデポしたので、そこからの外輪はそれまでよりも遥かに楽でした。無事に山頂に到着、そこには避難小屋が立っていました。

 

　この山はピッケル＋アイゼンでの行動が求められますが、ザイルは必要ありません。滑落防止の姿勢訓練を安達太良で遣ったり、夜中に標高50mほどの福島の街から吾妻の一切経(1,700m）まで寝ずの登山をしたりの訓練をして臨みました。

　ポポはその後、火山活動が盛んになって危険地域指定となり、今は登ることができません。（後で写真を載せたいと思います）

 

　登山後、テノチティトランの遺跡（メキシコシティは、湖の上に建っていたこの街を土台として出来上がったため、市内観光の延長で見られます）や、太陽と月のピラミッドで有名なテオティワカンの遺跡に観光しました。

 

　山に登るまでは、ホテルで用意してもらった湯冷まし水を飲んでいたため無事でしたが、下山後は水道の水を自力で沸かして飲んでました。でも、4000mの場所なので煮沸にならなかったようで、シティに帰る頃からお腹の変な人が続出。ガイドブックによれば、メキシコに行く日本人旅行者の7割は、菌（大腸菌）の種類の違いによる下痢に悩やまされるそうで、かく言う私も、こんなに凄いのは生まれて初めて、というほどのジェットストリームを経験しました。バスが休憩を取るたびに、メンバーはトイレに！　なんとも辛かったですが、お役人さんが買ってくれたお薬で、その下痢は収まりました。抗生物質と消毒薬みたいなものの併用で、こういうのを飲むなんて、何とも豪い場所に来たなあ、と思いました。 

 

 

　山は予備日を用意していたので、ポポ登頂の翌日は峠の向こうに聳えるメキシコ第三の高峰・イスタクシワトルまでハイキングしました。写真はそのときのもの。イスタも5300m近くの標高があって、今も登れます。