アマチュア無線家で工作に興味のある方は、沢山おられるかと思いますが、昨今、リグは非常に高度化して、自作が難しくなってきてしまいました。けれども、アンテナは十分に自作ができ、狙った性能も出ます。そうしたこともあって、私はアンテナはほとんど自作です。右の欄に制作したことのあるアンテナを紹介します。
[自宅では?] 2018年7月以降 2020年2月まで
非常に狭い家なので、運用時はベランダに、以下のアンテナを設置します。
・50MHZ=Delta loop (かつてはSky door or HR-50)
・3.5MHZ~28MHZ=MV。6.3mの釣り竿を使っています。昔はHR-7を車の屋根に載せてましたが、モービルアンテナ2種は寄付してしまいました。
・430MHZ=11段コリニアアレイ
[海外運用時のアンテナ]
最初は、ハイバンド用シングルデルタループのみ使用していましたが、今はすべてマイクロバートを使用しています。24-28MHZのみが共用で、他はモノバンド仕様で作ってあり、それをポールにガムテで貼る形式を取っています。
・小型軽量で運搬が楽ですし、
・打ち上げ角が低いのが一番の利点です。また、
・ラジアル不要のため、設置場所が小さくて済み、重宝しております。
注)バーチカルアンテナを使う場合、ラジアルを放射状に張ってQRVされる方も
多いかと思いますが、夜間に人が躓いて怪我をする可能性があり、基本的に
ラジアルは張らないアンテナを使う方針で遣っております。一人で外国で何か
事故を起こしてしまった場合、収拾できる自信がありません。ローバンド用に
10mポールを使う時でも、ステーを張らないで済む工夫をしております。
個人で移動運用される方も多いかと思いますが、事故の無いように十分な注意を
お願いしたいと思います。
構造は簡単で、撚り電線のアッパーエレメントと、リッツ線使用のコイル、それに1.5D2Vによるロワーエレメントから成ります。給電点にチョークコイルが入ります。全体の長さは以下の表のようになり、ポールに這わせられない部分は、地面を這っています。
(別項に制作資料を載せていますので参考にしてください)
[コイルに関する情報]
1)当初、エナメル線径1.0mmを使ったのですが、200wでも熱くなります。
2)エナメル線径2.0mmは重量が重くて不適です。(ポールが曲がってしまう)
3)リッツ線0.08-30芯で、CW200w出力をクリアしています。
(FT8での120Wもクリア)
4)リッツ線0.1-100芯で、CW700w出力はクリアしています。
※ホテルの部屋のベランダに設置しても動作します。室内でも使えますが、なるべく
窓辺に。上エレメントとコイル部分+下エレメントの先1m程度が窓から出れば
ベターです。
※私の友人が「リッツ線は意味がない=普通の単銅線よりも抵抗が少ないわけではない」という 学術論文らしきレポートを送ってくれましたが、私の実験・実用では(21MHZ200wで実験を行いました)、リッツ線はあまり発熱せず、エナメル線径1mmは強く発熱します。
(表皮効果は実在し、高周波に対して単電線は抵抗が高いと判断しています。通電数分後に実際にコイルに手を触れて実感しております)
[マイクロバートの欠点]
水に弱いです。高いQの共振をしているらしく、コイルに水が付くと周波数が下がってしまい、使用状態から外れます。雨の際は使用できないときがあります。また、塩水がポールに
付くと、性能が出ません。海岸付近は要注意です。
[信州の実家で] 2020年4月より
2020年2月より、両親の世話と新型コロナの影響で信州在です。3.5MHZのダイポールでSWLに勤しんでいます(ペースメーカーを入れている人がおり、強電界は心配もあり)。
庭にデルタループなら上げられそうなので、QRP程度なら出られるかも。
⇒2020年6月よりアンテナを増やして、3.5MHZ/7MHZ/14MHZ/21MHZ/28MHZ用ダイポールが、常設で上がりました。高さ5.5mから8mほどです。
[実例]
14MHZ用のMVの写真を載せます。
・左側が0.1-100芯のリッツ線を疎巻きにした高出力用です。リッツ線間に隙間を作っています。
・右側が0.08-30芯のリッツ線を密巻きにした200W用です。
高出力用も、蜜巻きでも行けると思いますが、まだ実験しておりません。
ボビンはアクリル筒もしくはポリカーボン筒です。東急ハンズで売ってます。
周波数(MHZ) | 全体の長さ | upper-element(撚り電線) | lower-element(1.5D2V) |
1.8 | 34.26m | 2.36m~3.1m (coil = 0.4m) | 31.5m |
3.5 |
17.72m |
1.3m (coil = 0.12m) | 16.3m |
7 |
9.82m |
1.1m ( coil = 0.12m) | 8.6m |
10 |
7.02m |
1.04m | 5.94m |
14 |
4.85m |
0.52m (コイルを多めに巻いたため) | 4.28m |
18 | 4.33m | 0.98m | 3.3m |
21 |
3.47m | 0.57m | 2.85m |
28(24兼用) | 2.56m (+1m) | 0.52m (24MHZ時は、1mほど追加) | 2.13m |
[参考=MVの高出力対応]
2016年9月に試作を行い、500wまで耐えられる仕様のものが出来上がりました。
・コイルにリッツ線を使う(0.08-30芯を2撚り)。疎巻きする。
その後改良して、現在は0.1-100芯のリッツ線を使用し、ボビンは透明アクリルかポリカーボンの直径30mmから50mmのものを使っています。少し重いですが、CW=700wまで運用できています。
パラオでの運用の際に、雨が降ってポールに水が付き、先端部の高電位部分からポールに放電したらしく、ポール先端が焼け焦げたりしたので、設置の際には注意が必要です。(先端部を丸める、もしくはポールから少し離す等) また、コイルを巻く際にナイロン製のテグス糸を一緒に巻くと疎巻きしやすいです。
・オリジナルタイプでは、3.5MHZ以上は、同軸を2.5D2V以上の太さの物とします。
チョークコイルに使用するトロイダルコアは、FT240-043を6個使い!
※1.5D2Vは軽くて大変良いのですが、周波数が上がると耐用電力が不足します。3D2Vは普及していて大変良いですが、重いのが難点! なので、電力的に3Dとほぼ変わらない2.5Dを使います。(2.5Dは芯線が単線なので、制作の際に注意が必要です)
・ローバンドは、9.7mポールでの設置が多いです。
※カーボンの入ったポールは、測定器程度の送信出力の場合は同調周波数が下がるくらいの
動作で済みますが、50W程度で送信すると、同調周波数がずれる現象に見舞われます。
(実際の結果を報告いただいております。導電性ポールは使用不可と考えていただいた
方が無難です)